一週間のマドリード滞在が始まった。
取り敢えず,地下鉄の5日券を買って,行動開始である。

街を歩いていて,真っ先に驚いたのは,人々の洗練されたファッションである。
女性はもちろん,男性の服装も目をみはるばかりである。それも,若い人たち
だけではなく,老壮世代に至るまで,ピシッと極まっているのである。

身に付けているものは,カラフルなものからシックなものまで多彩であり,その
着こなしも素晴らしい。
まるで,映画のスクリーンから飛び出してきたような人々で溢れている。
東京でこのファッションの人を見かけたら,芸能人ではないかと思うであろう,
そんな人々が街中を颯爽と歩いているのである。そして,このファッション姿が,
この街には良く似合うから不思議である。

旅の便りを送るため切手を買おうと思い,郵便局に行った。
日本向け,米国向けなどの郵便料金を尋ねて,額面の異なる切手を組み合わ
せて,少し多めに注文した。
窓口のうら若き女性職員は,立ったまま下を向いて,デスクの上に,注文した
切手を並べ始めた。客の視線は,自然と,その胸元に動いてしまうのだが,
目のやり場に困ってしまうほどだ。
郵便局だけではない。そんなファッションの女性が,普通に,街中を闊歩して
いる ― マドリードの街の風景である。

しかし,マドリードの街で,颯爽と歩く人々の姿は,旅行者にとっては,ある意味
では,冷たくも映る。

街中で迷ってしまい,地図を広げていると,アメリカだったら "May I help you ?" と
言葉をかけてくれるし,韓国,中国,台湾などでは,困っている旅行者を見ると,
たちまち人だかりとなり,あっちだ,こっちだと,教えてくれる。

マドリードでは,困っている旅行者に声を掛けてくれることは,ほとんどない。
ところが,である ― 。
こちらから声を掛けて,ここに行きたいので道順を教えてほしいと頼むと,
驚くほど親切に教えてくれるのである。人によっては,手を取って,訪ねたい
建物が見え始める地点まで,連れて行ってくれる人もいた。
世界中,どこに行っても,人々はみんな,心は温かいのである。

スペインの人々は,個人を尊重するが故に,他人には干渉しない,されたくない,
他人に迷惑を掛けない,掛けたくない,という文化を持っているのであろう。
見掛けは冷たく見えても,内実は,皆んな温かいのだ。否,熱いのだ。だからこそ,
フラメンコのような,情熱的な歌舞が栄えたのではないだろうかと思われる。

( 『スペイン旅行記』 タイトル一覧 )
http://blogs.yahoo.co.jp/swl_information/folder/1045214.html?m=l