間もなく,女性の車掌さんが,検札にまわってきた。座席は半分くらい埋まって
いるだけで,守備範囲の検札が済むと,彼女は朝食のパックを配り始めた。
ホテルで朝食を食べてきたばかりで,お腹は空いていないので,これはランチ
として食べることにして,取り敢えずは,車両の後部にある,無料のドリンク・軽食
コーナーからコーヒーをもらってきて飲むことにした。
車掌の女性は,『あなたたちは日本人か?』 と尋ねてきたので,『日本の東京
から来ました』 と答える。すると,彼女は続けて,『きょうは,前の車両に沢山の
日本人が乗っている。中国人のグループかと思ったが,皆さん,お行儀が良い
ので,日本人だとわかった』 と言う。
どうやら,オスロ駅で出会った,金沢からやって来た団体客のことを指している
らしかった。日本人のお行儀の良さは,海外では定評のようだ。
10時半過ぎ,車内アナウンスが流れ,『ただ今,国境を越え,ノルウェーから
スウェーデンに入りました』 と知らせてくれた。しかし,パスポートを検査されたり,
出国・入国手続きが待っているわけでもない。飛行機も,鉄道も,ノルウェーと
スウェーデンの間の移動は,国内を移動するのと同じように,ノーチェックである。
車窓からは,緑豊かな草原,白樺林,大小の湖や沼が,次々に見えてきて,
あたかも,テレビの 『世界の車窓から』 を視ているようで,飽きることがない。
ぼーっと,流れゆく風景を見ているだけでも,お腹は空いてくる。
いや,朝,乗車時に配られた食事のパックを,早く開けてみたくなった。
お昼時間も近くなっていた。
開けてみて,先ず驚いたのは,フォーク,スプーン,ナイフ,マドラーがすべて,木で
製作されたものであることだ。"This is 北欧" である。
軽食コーナーでもらってきた,コーヒーとりんごとクッキーを加えて,ボックスに入って
いたものをテーブルに並べると,結構なボリュームである。
パン,バター,チーズ,ハムとトマト,シリアル,ヨーグルト,ジュース,チョコレートなど
が入っている。
電車で,車窓の風景を見ながら食べれば,一層美味しく感じる。至福の時である。
( 『北欧旅行記』 一覧 )
https://blogs.yahoo.co.jp/swl_information/folder/1135795.html?m=l
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