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何事もなく入国手続きが済み、預け入れたスーツケースも無事に受け取ることが出来て、
空港ロビーに出た。大勢の出迎えの人々の間をぬって、ロビーの端にあるエスカレーター
に乗って、空港の鉄道駅に下りた。

空港では、様々なサインが英語でも表記されているが、鉄道駅のサインはポーランド語
だけで、切符の自動券売機も全てポーランド語である。画面を見ながら言語選択すれば、
英語表記にもなると聞いていたが、ここにある3台の券売機は何れも現地語のみである。

ガイドブックに書いてあった「切符の買い方」から類推して、券売機の画面をいろいろ
タッチしてみたが、上手くいかず、困っていると、近くにいた一人の男性が英語で声を
掛けてきた。
「どこに行くのか」と言うので、「ワルシャワ中央駅」と答えると、彼はポン・ポンと
画面をタッチして、クレジットカードを入れるように促した。カードを入れたが、次の
画面に進んで行かない。

彼は、「現金でないとダメのようだ」というので、現金を入れると、今度は、2人分の
切符に続いて、お釣りも出てきた。メデタシ、メデタシ、である。
切符代は一人4.4ヅオチ(約130円)で、これから20分間ほどの乗車であることを
考えれば、ポーランドは日本よりはかなり物価が安いこを予感させるものであった。

「有難う」と言って彼と別れようとすると、やや抑えた声で「アイ・アム・ホームレス」
と言いながら、われわれを遮り、暗にチップを要求してきた。「ヤラレタ!」と思いつつ、
「でも、教えてもらったんだから、しょうがないなあ」と思い直し、ポケットからコイン
を出して、彼に渡した。

発車ホームに降りると、「ワルシャワ・シルドミエシチェ駅」で停まる電車(S2ライン)が
待っていて、その電車が先発だった。われわれが予定していた電車は、「ワルシャワ中央駅」
で停まる電車(S3ライン)であったが、その電車の発車予定は電光掲示板に出ていない。
ガイドブックには「どちらのラインの電車に乗っても同じ」と書いてあり、宿泊ホテルは、
どちらの駅からも徒歩圏内にあるので、先発の電車(S2)に乗ることにした。この電車は
「ワルシャワ中央駅」を通らず、隣りの「ワルシャワ・シルドミエシチェ駅」に停まる電車
である。

両駅は隣り合わせ、地下道で結ばれていて、実質的には「同じ駅」と言って良い構造になって
いるが、それは、後になって分ったことで、この時は「別の駅」と思っていたので、「ワル
シャワ・シルドミエシチェ駅」を乗り越さないように、車内の電光掲示板を注視していた。

車内に入ると、ヨーロッパの多くの交通機関と同様、チュックイン印字機があって、そこに
切符を挿入すると、有効期限の日時が印字されて出てくる。われわれの切符は「75分間」
有効のもので、有効期限は5月7日16時31分と印字されている。その75分前、15時
16分にチェックイン機で印字されたことを示している。

電車は、15時25分に発車した。
車内の電光掲示板には停車駅が英語でも表記され、英語でも車内アナウンスが流れる。
約20分経って、目指す「ワルシャワ・シルドミエシチェ駅」と思われる駅に到着した。
プラットホームの上部に掛かっている駅名のサインは、照明が薄暗くて読めない。

隣の席に座っていた若い女性に「ここは、ワルシャワ中央駅ですか」と英語で尋ねると、
「えっ?」という感じでモジモジしていたが、向かい側座席の右手前方に座っていた
女性が、われわれの遣り取りを見て、「ワルシャワ中央駅ですよ」と日本語で教えて
くれた。一緒に降りた彼女に、「有難うございます」の礼を言うと、彼女は、笑顔で、
そのまま歩き去って行った。

彼女は現地の事情を良く知っていて、「ワルシャワ中央駅」と「ワルシャワ・シルドミエ
シチェ駅」は別々の駅であるものの、地下道で結ばれていて、実質的には「同じ駅」と
言って良い構造になっていることを知っていたのであろうと思われた。

彼女の姿を見て、乗車中から「日本人女性かな」と思っていたが、最近は「日本人のように
見えても、日本語を話さない人」や「日本人のように見えなくても、日本語を上手に話す人」
が多くいるので、やたらに声はかけないようにしている。彼女は、日本人だった。

(「ポーランド旅行記」一覧)
https://blogs.yahoo.co.jp/swl_information/folder/1147858.html?m=l