ホテルのレストランで朝食を済ませ、チェックアウトした。
ホテルの外に出ると、天気は小雨模様である。
ワルシャワ中央駅まで、歩いて行けない距離ではないが、小雨と言えども
濡れるのは嫌なので、路面電車に1区間だけ乗ることにした。朝のラッシュ
アワーに、スーツケースを牽いて乗れば、他の乗客に迷惑をかけるだろうと
気になったが、やって来た電車は空いていて、迷惑を及ぼすことはなかった。
駅に到着して、電光掲示板を見上げると、われわれの乗る電車の情報が未だ
表示されていない。そこで、前日、切符の「Validation」(有効化手続き)を
しようとした時、けんもほろろ、相手にしてもらえなかった窓口に行って尋ねる
と、前日とは打って変わって、愛想良く「2番ホームですよ」と教えてくれた。
前日の、あの、そっけない態度は何だったのだろうと、不思議に思う。
電車の発車ホームには、早めに着いたためか、待っている人は誰もいなかった。
次第に乗客が集まってきて、その中の一人の女性が、われわれに「どこかに来た
のか」と尋ねてきたので、「日本から来ました」と答えた。彼女は、われわれより
は、少し若く見えた。
彼女の話す英語を理解するのは難しかったが、「クロサワ、クロサワ」と言って
いるのが分かった。「映画監督の黒澤明ですか」と言うと、「そうだ。そうだ」と
言って、日本の映画や小説が好きで、観たり、読んだりしたことを話してくれた。
ファーストクラスの座席は、1+2となっていて、われわれは二人とも1人席で
ある。テーブルを挟んで向かい合う一人席もあるのだが、日本の代理店に頼んで
格安料金「早割りチケット」の座席を予約する場合は、機械的に決められるようで、
われわれは、2人で並ぶ席も、1人で向かい合う席も確保することができず、前後
に1人づづ座ることになった。
(「ポーランド旅行記」一覧)
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