WRTHの他,NHK国際局とKBS日本語班宛ての受信報告専用用紙も
持参した。
しかし,ラジオのスイッチを入れたのは,たった一回だけだった。日本語
放送各局を受信する時間の余裕がなく,RADIO JAPAN の日本語放送も
聴くことはなかった。朝から夜まで,目一杯出歩いていたからだ。
今回の旅行には,特別の目的があった。
私も,そろそろ人生のゴールが視界に入ってきており,ゴールインした
ならば,灰の一つまみをサンディエゴの海に撒いてほしいと願っている。
その場所を長男一家に見せて,頼んでおきたいと思ったのである。
1976年,初めてサンディエゴの海を見た。
南カリフォルニアとは思えないほどの肌寒さを感じる砂浜に腰を下ろし,
雲一つない太平洋の水平線に沈む夕陽を眺めていた。
この海の向うは日本なのだ,この夕陽は日本の夜明けの太陽なのだ
と思うと,熱いものがこみあげてきた。
上記画像は,その時に撮影した写真で,すっかり色が褪せてしまい,
汚れも目立っているが,あの時の記憶だけは,今なお鮮明に蘇る。
初めての海外旅行という感傷もあったかも知れない。
1歳の長男を連れた家族旅行で,羽田空港から韓国金浦空港を経て,
ハワイのホノルルで給油して,ロサンゼルスに着くまで24時間を要した。
大韓航空の格安航空券ゆえ止むを得なかった。長時間にわたる飛行で,
随分と遠くまでやってきたものだと言う感慨も手伝ったのだろう。
冷静に考えれば,この夕陽は日本の夜明けの太陽ではなく,真昼の太陽
なのだが,大自然の静かで荘厳な風景に身を置きながら,畏怖の念は
増すばかりであった。人間の営みが如何にも小さく思われた。
この経験が,その後の私の人生に少なからず影響を与えたように思う。
人生のゴールイン後も,その想い出の地で,わが祖国に向かって永遠に
夕陽を見ていたいと願う。 (了)
( 南カリフォルニアの旅記事一覧 )
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